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リノベーション

                                     ㈱バウ設計集団 赤嶺 周作

昨年、家族構成の変化に伴うライフスタイルの変化もあり、祖父母から譲り受けていた住宅(築20年)をリノベーション。プランから工事完了(引き渡し)まで≒9ヶ月間(内装工事6ヶ月)と時間と費用はかかったが、
新築同等以上の品質・空間を得られ、快適な生活を送っている。
 
 さて、一般的にリノベーションリフォームとの違いとは具体的に何が違うのと思われる方が多いのではないでしょうか。

リノベーションは、スケルトン(構造体)とインフィル(内装・設備)に分け、インフィルの一新、時代の変化に対応させ、性能以上に再生する手法。
リフォームは、壁紙の張り替え、設備の取り換え等と建築当初の性能に戻す。比較的小規模な工事を示します。
したがって費用の面でも随分と違います。

 国交省定義
  ●リノベーション=新築時の目論見とは違う次元に改修する(改修)
  ●リフォーム=新築時の目論見に近づく様に復元する(修繕)

 今、わが国では、長年の少子化等による人口減少(自然増減)傾向である。地域によっては流出人口(社会増減)も重なり問題となっている。 その社会問題と比例していく空き家をリノベーションする人が増えてきている。
 
 リノベーションの場合、新築と比べて、単純に躯体費用が安くなる。そう考えると、内装や設備などで妥協せずに、新築よりもお金をかけてこだわることができる。
中古物件を購入する方は、中心部への住居が確保しやすい。などのメリットがある。
       ※スケルトン(構造体)の状態(補修・補強内容)によっては、新築(中古住宅購入を考えている場合)or建て替え(持家の場合)の方が有利(金額的に)となる場合はがあるが・・
   
 沖縄県の場合、人口減少(自然増減)は、全国平均を下回っており、かつ流入人口(社会増減)などもあり、空き家率は低いので適当な物件を見つけることは容易ではないが、
コスト削減、環境への配慮などを、マイホーム計画の中に、戸建やマンションの中古物件を購入し、自分スタイルにリノベーションする選択もあるのではないか。



 ■一つ注意しておくべきことがあります。ローンを組む場合の返済計画です。

中古住宅の場合、建物の耐久性が考慮され、借入期間が短くなる可能性があるので注意が必要です。
 例として RC造の場合 (耐用年数 45年)
45年(耐用年数)から20年(築年数)を引いたのこり25年が返済期間。
 ※各金融機関へ物件の利用できる返済年数を確認した上で、返済できるか検討が必要です。

 

 ■我が家
      1階部分(1LDK)の仕上げは、自然素材でまとめ照明はLED(ダウンライトで統一)した。
      2階(4部屋+水廻り)は予算の都合により施工業者指定材料

DSC06167.JPG■1階 壁(一部に化粧合板使用)・天井は、漆喰塗装仕上げ
    床は、杉集成材(180×1450×27) ワックス仕上げ 
        メリット  :匂いが良い。足触りが良く暖かく気持ちが穏やかになります。
        デメリット:柔らかく傷がつきやすい 傷、汚れが気になる人は、おすすめできません。

    

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■掲示板の設置 まだ、子供が幼く学校からの連絡事項が多いのでスペースを設けた。安全性に配慮しマグネットがつく壁紙を選択








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■塀 通行の多い道路に面した建物は、引きもないので、プライバシーを確保する高い塀を設置せざる得ない。そこで 一工夫したのが、通行人の目線よりも低い位置を開けたこと。開けることで、塀の圧迫感を軽減し、通りと緑、気配を互いに目線を合わせることなく共有。通風も確保し、防犯対策にもつながる

2013/08/12

プロムナードのある交歓の場

                                                                         

 

  (株)バウ設計集団 当真なな子                                                 2013.6.14
 

 

 那覇市松尾にある八汐荘が、老朽により5月いっぱいで53年の歴史に幕を閉じました。

八汐荘は教職員の為の共済会館で、当時県教職員共済会の理事長であった屋良朝苗元知事が文部大臣への要請により建設が実現。離島からの教職員の宿泊や結婚式など宴会などにも利用されたそうです。

 

●現存の八汐荘。宮里栄一氏による独創的な建物。

 

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そして今回八汐荘の建て替えに伴う「社団法人沖縄県教職員共済会本部会館計競技」が行われ、2013年5月28日の結果発表にて優秀賞をいただきました。

最優秀賞には惜しくも届かなかったものの、私にとって初めての設計競技。

スタッフが団結し、構想の末いただいた優秀賞は筆舌に尽くしがたいものがありました。

 

今回のテーマは  『プロムナードのある交歓の場』 。

 

 ●外観イメージ。

共済会本部会館_外観ボリューム.jpg

 

計画の主な趣旨は、来訪者に対して「わかり易く開放的な構成」とすることです。

会館へのアクセス導線としてのプロムナードに設けている「アマハジキャノピィ」 は、外界としての街と会館との接点として両者を結び合わせる役割を担います。

 

プロムナードは街に解放された領域と考え、街を往来する人達が歩道代わりに安全路 として利用されてもよしと考えます。

ロビーやラウンジ空間および食堂の表情を際立たせて、ひとつの「街並み」を演出するように構成しています。

 

また、日射対策として「PCコンクリート格子+押出形アルミルーバー」で構成するブリーズソレイユをその全面に設置することで、省エネと快適な居住空間を確保するようにします。

デザイン的に何かしら沖縄らしい要素を取り入れたいと思い、格子内に伝統織物であるミンサー織りを所々に体現しています。

 

 

 ●メインである 「プロムナード」イメージ。

プロムナード_階段着色-10_H25.5.jpg この度は建設実現には至りませんでしたが、優秀賞の喜びと共に他の設計事務所の方々の作品から斬新なアイデアやデザイン、プレゼンの表現方法等を学ぶことが出来、私にとって大変意義深い設計競技となりました。

今回の設計競技の経験をふまえ、次回に繋げて更なる飛躍を目指したいと思います。

2013/06/14

国内ミニ建物見学 ~天然材料の魅力~

(株)バウ設計集団 金城馨

 2012.12.07 

 

 私は、おおよそ2年に一度程度と頻度は低いのですが、大学時代の友人や職場の同期との近況報告会を兼ねて県外へ行くことがあります。その折には近郊に著名な建築物があれば、できる限り足を運んで建物を見るように心がけています。まぁ、どうしても美術館や店舗等の大きな建物になってしまうのですが... 

 今回、コラムを書くことにあたり、これまでの私の国内ミニ建築見学を振り返ってみると印象に残っている建物は石材等の天然材料をうまく取り入れながら、周囲の自然と整合した建物であることに気付きました。そこで、今回はいくつか印象に残っている建物の中でもお気に入り建築を2点と、そして、天然材料という点で最近、気になった建築を1点紹介させて頂きます。

 

まずは愛知県豊田田市に建つ豊田美術館です。

 

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この美術館は1995年に谷口吉生氏の設計で元々七州城があった高台に建設された建築物です。100m程の緩やかな勾配坂を上るとまず乳白色の合せガラスの外壁が見えはじめ、もう少し進むと深緑のスレートの受け壁をもつ正面玄関が出迎えてくれます。事前勉強なく当建物の見学に挑んでいた私は、その時点では、この建物のもつ魅力に全く気付いていなかったのですが、エントランスコートを出た瞬間世界は一変。計算しつくされた垂直・水平ライン、そのバランスのとれたフォルム。深緑の天然スレートと乳白色の合わせガラスの使用どころと、その配分に感動させられます。特に天然スレートの緑は乳白ガラスとのコントラストにより非常に映え、キャノピーを支える柱を覆った大版のスレートの迫力は強いインパクトを与えます。また、敷地内に設けられた"水盤"と"木々"、そして高台に建てられたことにより得られた視界を妨げるものがない"空"とで作り出された空間は見事で、水面に建物や周りの木々が写り込むことで周囲と建物が一体化している感じも受けました。この水盤の縁石は大ぶりの赤御影石となっているのですが、この赤御影石・水面・スレート床で構成される低いレベルでの自然要素のリズムも気持ちのよいものでした。一日中、いつまでもウットリできる空間がそこにはあります。

 こんな素晴らしい建物ですが以外に愛知県内の人でも訪れたことのない人も多いらしく、この空間美を堪能してもらいたいと思いつつも建物の魅力をじっくりと味わうには、来訪客が少ない方がいいのだろうなとも思う私でした...

 

 

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続いて二つ目に紹介させて頂くのはフランク・ロイド・ライト氏設計のヨドコウ迎賓館(旧山邑家)です。(既に行かれた方も多いでしょうし、ベタで申し訳ないですが...)

 この建物は兵庫県芦屋市の周囲が緑に囲まれた小高い丘に建っています。

私は芦屋駅方面から見たのですが、そこからは煙突がなんとなく見える程度でほぼ緑のカーテンで覆われていました。結構、急峻な坂を上がった後、敷地に入るのですが、建物を右手に続く玄関までのアプローチの道程から既に建物と木々の緑との調和が見られ期待感が増幅させられます。建物は塗装仕上げの黄みが強いベージュ色を基調としていますが、軒先に帝国ホテルでも使用した大谷石(おおやいし)を使用することでライト氏の特徴でもある長く伸びた水平ラインが強調されています。また、玄関や柱で見られる独特の質感を持つ大谷石の美しい配列も見事で、建物をぐっと引き締める役割を担いつつも、天然素材のもつ暖かさを醸し出していました。

 建物内(内部は撮影禁止なため写真はありません)においても、この大谷石の存在感はモノ凄く、RC壁と木の仕上げの中に存在することによって内部空間に重厚感を与え、品格を一段高いものへ昇華させている感じを受け、ライト氏ならでは洗練されたデザインの飾り窓や装飾棚等とのマッチングも絶妙です。2階応接室の大きな横長のFIX窓や廊下沿いに設けられた飾り窓から注ぐ光は心地良く、内部においても外部を感じさせるために大きな窓になっているのだろうと個人的には感じました。この窓に使われている飾り銅板は、クローバー?の形に似た植物の葉がモチーフとなっているようで、他の場所でも窓やドア・鴨居の上の欄間など随所に使われています。後に調べたところ、形だけでなく色も自然のグリーンに近づけるためわざわざ銅に緑青(ろくしょう)と呼ばれるサビを発生させたようです。建物に向かうときに見えた高く伸びる煙突を背にして長細く広々としたバルコニーからの眺めは絶景だったのですが、運悪くカメラの電池が切れてしまったので写真はありません... ライト氏設計の建物なので、沖縄の方も一度は是非とも足を延ばしてみるとよいと思います。

 

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 最後に天然材料というワードより、最近気になった建物を紹介します。それはアトリエ天工人 山下保博氏が設計の『アース・ブリックス』と命名された土ブロックでできた住宅で、今年のグッドデザイン賞も受賞された建物です。(先日、訪れた展示会にて模型写真を撮影したので掲載します。実際の写真はアトリエ天工人さんのH.P  http://www.tekuto.com/works/2011/186/info.html を覗いて下さい)。

 

  tsuchi_2_2.jpg    tsuchi_1_2.jpg     

アース・ブリック模型写真

 

 私はテレビで偶然、この建物を目にしたのですが、やや閉鎖的であるものの土ブロック壁の表情、スリット窓やハイサイドライトから光が漏れている雰囲気は個性的で、興味をそそられました。構造上の制限だと思いますが床面積は40㎡程度、浴室・トイレ以外は間仕切りのない1ルームで階段を介してロフトの寝室へ通じていました(この寝室は壁もなくフルオープン!)。ご夫婦二人でお住まいのようで家族が増えた場合の対処や収納スペースの課題等はあると思いますが、内部は土壁の表情がそのまま生かされており、壁の曲線も手伝って、やさしい雰囲気が際立っている感じでした。このような天然材料の表情は好きなので改めて天然材料の魅力を感じるとともに、新しいことへ挑戦し続ける山下氏の情熱に敬服する思いでした。(この土ブロックを使って教会を建てる計画もあるようで、実現することに期待したいです。 )

 

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                   土の教会模型

尚、この建物で使用された土ブロックは大学・企業と連携して研究開発し、下記サイクルフローで環境負荷ゼロの完全リサイクルな構造体材料を実現したもののようです。

+砂利++酸化マグネシウム(MgO+水 ⇒ 乾燥(土ブロックの完成) ⇒ 水酸化マグネシウム(MgOH2) ⇒ 時間+CO2 ⇒ 炭酸マグネシウム(MgCO3) ⇒ 時間+CO2(より強度が増加) ⇒ 建物を壊す ⇒ 土に返る

 

 

 おわりに

 山下氏の土ブロックとはちょっと違うと思いますが、この"土"というワードから私は、藤森照信氏が著書『建築とは何か』の中で、藤森氏は人間の心の一番奥底まで届く建築材料は土となるだろうと述べ、自身の最後のテーマが土になるであろうという風に土についての思い(気持ち)が書かれていたことをふと思い出した。

 このように土だけでなく石材や木材といった天然材料というのは、古くから人間にとって身近なものであるが上に、その材料の放つエネルギーが無意識に人間のDNAを刺激し、人間の心を引きつけるのだろう。今後、もっと天然材料と向き合って色々挑戦し、建築・空間作りに取り込めていけると、より良い建物・空間デザインができるのではないだろうか?と思う今日この頃です。

さぁ、お次はどこへ見学に行こうかな?!

   

 

 

2012/12/07

沖縄の建築

㈱バウ設計集団 上与那原 恒

2012.07.30

沖縄の建築で、私の好きな建物を幾つか紹介したいと思います。

 

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聖クララ修道院(与那原町)

設計:片岡 献+SOM 
1958年、米軍キャンプ施設の設計に携わっていた片岡 献氏が
シカゴに本拠地を持つ「SOM」の協力を得て建設された教会。
『個人的に沖縄の建築で、一番好きな建物です。』

 

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旧大宜味村役場(大宜味村)

設計:清村 勉

沖縄最古の鉄筋コンクリート建造物(今から約87年前に竣工)

台風・白アリ被害の多さより建物の改良を考え、

本土でも木造が主流の時代に鉄筋コンクリート造(RC造)の普及に挑んだそうです。

『この建物は現在も使用され、県指定有形文化財に指定されています。』

 

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名護市庁舎(名護市)

設計:像設計集団

天井に設けられた「風の道」から海風・陸風を取り入れて通風、換気に利用し、

空調設備に依存せずに快適な環境をつくり出す事が意図されています。

『風土に根ざした建築を目指した、その建築プロセスが素晴らしいです。』

 

 

2012/07/30

コンピュータをめぐる環境と建築について(スティーブ・ジョブズを追悼して)

バウ設計集団 高野 真史

2012.6.16

 

 

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 アップルコンピューターのスティーブ・ジョブズが亡くなり半年以上が過ぎて彼に関する話題も一段落した感があるが、彼が現代のテクノロジーに与えた影響の大きさには驚かされる。

 彼の作り出したヒット商品に共通しているのは、いかに簡単に使い手のイメージを実現してくれるかという、「人」と「コンピューター」との関係だろう。また、それに関連してデジタルコンテンツにいち早く目を付け、音楽・映像コンテンツを始めとするデジタル環境を開拓したパイオニアでもある。

スティーブ・ジョブズとは自分のするべきことに対して確固たる理念を持った天才的なカリスマであり(性格的には相当問題のあった人らしい。だから理想を実現することができたともいえるのだが。)、理想(ビジョン)を実現するためにコンピュータを使って世界を変えようとした人である。

 

 同じように「技術を背景に環境をつくっていく」という共通点はあるものの、建築の世界というのはあまり進歩的なものとは言いがい。特に住宅に関して言えば、少しずつ変化はあるものの、基本的には今までの生活スタイルに従って設計していくしかない。建築雑誌の世界では新しいスタイルを生み出すべく斬新な建物が生み出されているが、ほとんどが特殊解であり一般解にはなり得ていない。(だから雑誌に載っているとも言えるのだが。)

 

人間の生活習慣や行動パターンというのは本質的なところではそう簡単に変化しないようだ。人が生活していく上では光や風・風景という自然環境との関わりを常に求めていることも大きな要因となっている。現代を生きる私達は近代以降極端に文明が発達したような錯覚に陥っているが、江戸時代に比べて日本人はどれだけ変化したのだろうか。普段は都会での便利な生活を満喫している人々も、休暇になれば自然を求めてリゾート地へ赴いたり、わざわざ不便なキャンプ場のテントで寝泊まりするのも、ある種の原始的な本能なのかもしれない。

「便利さ」というのは意外にストレスと紙一重なのかもしれない。

 

 一方、インターネットや携帯電話など情報通信産業の世界では日々技術革新が進み、無線LANやスマートフォンiPhone)・タブレット端末機器iPadといったモバイルコンピューターが登場した。そのおかげでインターネットを利用する程度であれば、場所に縛られる必要すらなくなっている。普通の人々には中身を理解できないコンピューター技術が、人間をサポートするという意味でどんどん身近になってきている。実際のところインターネットが一般化し始めた十数年前にはインターネットがここまで普及するとは想像もしていなかった

 

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コンピューター技術というものは私たちの生活をほんの少し便利にしているに過ぎない。しかし、そのほんの少しのために人間は努力をかさねているのだろう。

 

 もちろん、こうした工業技術による便利さは表面的なものに過ぎないと思う。電気が発明され、エアコンや空調が一般化しても、窓の無い家には住みたくないように、技術が発展してもそれを使う「人間」を主体に考えたときの快適さというのは昔から現代までそう大きくは変わらないと思う。

普通の人は決して宇宙ステーションのような人工的な環境で生活したいとは思わないものだ。

しかし、電気の無い時代には後戻りできないように、技術は生活の一部になっている。「人」を中心とした理念があれば、人とうまく繋がりながら技術は進歩していくだろう。

 

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 SF小説や映画のように自動車はなかなか空を飛ばないけれど、ハイテクと自然が共生していくような未来が実現すれば、建築の将来も変わっていくのかもしれない。新たな技術によってそこに少しでも新しい「快適さ」がプラスできればそれはそれで素晴らしいことなのだろう。

 

 ITの世界のように華々しい商品を出すことはできないが、私達は光や風、家族のコミュニケーションといった「人」や「自然」を中心とした変わらないテーマの中に快適さを求めながら頑張っていくしかないし、それで良いのだと思う。

 

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2012/06/16

はじめての子育て

㈱バウ設計集団 亀崎さちえ

2012.3.19

昨年の夏、私は第一子を出産した。

初めての子育てに四苦八苦しながらも楽しく過ごしている。

小さな子どもとの時間の中で、家づくりについて色々と思うことがある。

bed.jpg新生児の赤ちゃんは、一日に数回ウンチをする、その度にお尻を洗うのだが、毎回浴室にいって、シャワーの水温調整をして、私のズボンの裾をめくって・・・お尻を洗うまでにやらなきゃいけないことが多すぎる。洗面室に少し大きめの洗面器にサーモスタット付シャワーヘッドがついていれば、片手で適温の水をだし、足もぬれずにパパっと洗え、さらに新生児のお風呂のバスタブとしても使える大きさであれば、とても便利だと思う。

越してきた時から昼白色の蛍光灯がついていて、切れたら電球色にしようと思っていた。ところが、寝返りするまでの赤ちゃんは天井ばかりみている。昼白色だとギラギラして眠りにくいかもしれないなと思い、すぐに電球色のやさしい灯にかえた。

 

子ども中心の生活の中で、家事をこなすことは大変なこと。子どもが寝てる間に、一人で遊んでいる間に...ふとした時にパパッと済ませたい。よく思うのが、「対面キッチンだったらなぁ」と。私が住んでいるアパートはひと昔前の間取り。もちろんキッチンは対面式ではないし、洗面室(脱衣所)もない。

子どもができ食事にも気を使うようになったのもあり、時間をかけたい時もある。目が離せない今の時期に、子どもが遊んでいる間は、背を向けて料理することは無理だし、寝ている間は、ちょこちょこ後ろを振り返って様子を見ながら料理すると、ソワソワしてなかなか料理に集中できない。これが対面キッチンだったら、子どもから目を離さず、安心して料理や片づけができるのになぁと思う。

 

息子はあっという間に8か月になり、はいはいを2、3歩+つかまり立ちができるまでになった。とは言っても、2本の足でぐらぐらしながら何かにつかまっていても、そのまま後ろや前に倒れることもよくある。その時、そっと手をだしてあげたいけれど、毎回そういうわけにもいかず、床に倒れたり、壁に頭打ったり、家具にぶつかったり...と、本当に目が離せない。でも、床が畳や柔らかい性質のフローリングだったり、壁が木の素材だったり、ちゃぶ台のように角のない木製の家具だったりすると、ちょっと肩の力をぬいて、子どもと接することができる。

最近はアルミサッシのクレセントをカチャカチャするのが好きで、ぐらぐらして立ちながらも遊んでいる。この時も、アルミの框に倒れて頭を傷つけないかヒヤヒヤしながら側で支えている。前に住んでいた古い住宅は外部の窓が木製だった。あの頃は、隙間風や埃などが入って大変だったけど、いまとなれば、木製窓もありかもと思ったりもする。

離乳食が始まり、ダイニングテーブルの椅子に子ども用のイスをセッティングしている。住宅のプランをする時、ダイニングを気持ちいい場所にすることを常に頭においている。この子が大きくなって、この椅子に座って、食事をし、一日の話をしたり聞いたりするだろうな・・・と思うと、この部屋に窓があって、いい景色がみえて風がながれていたら、とても気持ちいいだろうな。と想像したりもしてしまう。

家での子育てに使えるな!と思うものが、障子戸と鏡。

テレビのある部屋と、ベットのある部屋が続き間で、障子で仕切っているのだが、この障子がとても活躍している。子どもを寝かしつけた後に、TVをみたり、ゆっくりする時でも、障子を閉めれば電気をつけたままでもベットの部屋は明るくならないし、寝ている子どもの様子もすぐに感じ取れる。引戸だから開け閉めの際に音もでないから、神経使わなくていい。しかも、日中は一つにまとめて広く部屋をつかえるし、子どもが障子の紙をバンバン叩いて、破って、遊び道具にもなる。破れたところから私が覗けば大喜び。破れた障子紙は、ひと格子ずつ和紙を貼ってしまえば、大きな作業にもならないですむし、一枚の障子戸に変化があって面白い。

そして鏡、少し大きめのサイズを床に置き固定している。子どもは鏡が好きみたいで、よく鏡の前に来る。子どもの視線の高さにあるから、抱っこしなくても、一緒に鏡の前で遊ぶことができるし、実際に私も妊婦の時にマタニティヨガをこの鏡の前でやっていた。さらに便利なのが、私がベランダで洗濯物を干している時、寝ている子どもの様子を確認できること。たまたま置く場所がなくて、床に置いた鏡がこんなにも使えるなんて思いもしなかった。今後はインテリアにももう少し色を添えて、子どもが楽しくなるような空間にしてみたいと思っている。

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      window2.jpg  tv2.jpg

子どもを遊ばせていて、「あれもダメ、これもダメ」とダメばっかりは言いたくない。ベビーサークルなどにいれて閉じこめたくもない。子どもが自由で思いっきり遊びまわり、好きなことができるようにしてあげたい。そのために物が安全であるように準備することが重要で、家の間取りやちょっとした工夫によっても親の気持ちにゆとりをつくることができて、子どもに対してよい環境をつくることができると思う。

 私にとって子育てという貴重な体験は、これからの住宅の設計で大いに影響させられるものになると思う。自分の経験を活かし、お手伝い、提案ができるといいなと思う。

2012/03/19

沖縄型住宅をめぐって

沖縄型住宅をめぐって   

㈱バウ設計集団 内田栄司  2010.08.18

 

 

こと沖縄に於いてはご存知の通り長年に渡り、コンクリート住宅が8割以上を占めてきている。

私共の事務所でも、基本をコンクリート造に置いている。

住宅設計依頼に来られる方も、100パーセントと言えるほどにコンクリート造を暗黙の了解のごとく、それを前提に相談にやって来られる。

しかし、コンクリート造が理想の工法と了解しているわけでは勿論無いわけで、ご承知の通り気候風土上のいくつか大きな課題を抱えつつも、総合的に選択している訳である。

 

ところで、こうした住宅の工法を越えて、最近「沖縄の気候風土」云々以前の、私にとっては驚くべきとでも言うべき現象が出てきている。

私が「げんこつハウス」とか「グーの住宅」と呼びなしているそのもののスタイルの住宅である。

私自身としては、沖縄の住宅をどこまで「パー」にできるか思い悩んで来ているのに、いとも明るく「グー」なる形態で出現し、正直戸惑いを感じているところである。

ジャンケンの「グー」「チョキ」「パー」を建築のタイプ識別指標のひとつとして考えている事なのですが、「パー」は手のひらを大きく開いた開放的なスタイルで、「グー」はそのまったく正反対のものになるわけです。

 

genkotsu1-2.jpg genkotsu2.jpg genkotsu3-2.jpg

 

暑くてやりきれない時は、開いて風通しを計り、涼しくしたくなりましょう。逆に寒くてしょうがなければ、身を丸めて熱を逃がすまいとしてしまいます。「住まいは夏を旨とすべし」と言われるこの日本で、ましてやこの沖縄でなぜ「グー」が受け入れられてしまうのか?

「気候」も「風土」も関係ない、ユニバーサルスタイルと言えば聞こえが良いが、いまさらのモダニズム的発想の極限的姿が。

私としては不思議と言うか、ほとんど驚きなのです。それを発想する人がいること、しかもそれを受け入れる人がいるという事が。

皆さんはどのように思われるでしょうか。

 

まあそこまで行かなくても、沖縄の住宅建築の傾向は、ここ十数年間に可也変化してきたと思います。沖縄の住宅はかくあるべきだという確信的風土論は見失われ、「モダーン」と言うか、格好をつけ易いためか「ミニマル」と言った方向が最先端的に主流になっていると言えましょう。

窓に小庇さえ無い「デザイン主義」とでも言うべきスタイルが幅をきかせつつ、ユーザーもその傾向を求めているのか、恐らく受け入れているとさえ言えるのではないか。

暑ければAC効かせれば良いし、何が問題なのと言う程度の話なのかも知れません。

もはや「気候」とか「風土」だとか問題にする事態では無く、「AC無しで暮らせる家作り」とかいうテーマや興味は絶滅危惧種なのかも知れない。

 

それでも、しかし、「しかしそうでは無い」ということを、原則論として「気候風土」をたゆまず考えて行くべきだと私は言いたい。

図らずも今回の東日本大震災と福島原発大災害の結果停電と電力不足が生じ、生活は大きく混乱した。現代生活の虚構性が露呈した結果、一見便利に見える今の生活環境に大きな疑問・疑念が生まれたと言える。オール電化とはなんだったのかとか、AC頼りの住まいの脆さとか、高層居住の恐怖とか、様々な事態がみんなの意識に「住まう事の原点」を見直させたともいえる。

 

私はそうした物理的な問題も大切な観点ではあるのですが、もっとメンタルな側面を見逃してはならないと感じてきました。例えば住まいにおいて、季節の変わり目というものは、AC漬けの中では捕らえ切れないものがあり、この季節の変わり目を「感得」することこそ、生物としての人間の根源的な「生の喜び」そのものだということです。このことを失っていては、人生の大損失であると言う事を改めて思い返して欲しいのです。

私の敬愛するイギリスの宗教哲学者故ジョン・クーパー・ポウイスによると、人生の中で、詰まるところもっとも肝心な事は、「自然を味得すること」に尽きるとの結論に達したと。人の幸福はこの「自然を味得する」ことが日常生活上に於いてあるかどうかで決まるとさえ言うのです。

ここで言う「自然」と言うのは、どこか遠いところの海や山の存在ばかりでは無く、日々の生活を取り巻く身近な自然が大事だと思うのです。なぜかと言うと、生きるとは日常そのものなのですから。

 

ですから、「気候風土」に合った、「自然とともに暮らせる家作り」が、やはり本当に大事な事、「古くて新しいテーマ」であると思わざる得ないのです。

 

2012/01/21